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30 人の Linux カーネル開発者

30人のLinuxカーネル開発者:John Stultz

今週の 30 人の Linux カーネル開発者シリーズでは John Stultz を紹介します。彼は Portlandia をベースとし、現在は IBM から Linaro プロジェクトに出向しています。彼の Linux との「恋愛」関係は 1997 年に始まりましたが、その選択に満足して、過去を振り返ることはありません。


これまでに紹介した開発者のプロフィールは、こちらに掲載されています。
インタビューの原文はこちらです。
 

 

john stultz

お名前をお願いします。

John Stultz です。


Linux コミュニティでのあなたの役割や、担当のサブシステムについて教えてください。 

私が手がけてきた時間管理サブシステムの仕事が、ずっと私とコミュニティとを結びつけています。ほかにも、大型 NUMA システムが Linux ハードウェアで動作できるようにするための修正作業や、CONFIG_PREEMPT_RT  パッチセットの堅牢性向上作業なども手がけました。最近は Android パッチセットをアップストリームに統合する作業の支援に集中しているため、今まで携わらなかったカーネルの部分にも触れる必要が出てきました。

 

報酬はどこから受け取っていますか?

IBM の LTC (Linux Technology Center) からです。現在は Linaro プロジェクトに出向しています。

  

お住まいは?そしてそこを選んだのはなぜですか?

オレゴン州のポートランドです。食べ物は最高ですし、とてもリラックスできる環境です。自宅周辺は散歩やサイクリングにも適しています。また、芸術領域でも優れています。技術領域に関してはやや不十分ですが、技術分野で活躍する人たちの優れたコミュニティがあり、定期的にいろいろな催しが行われています (calagator.orgを参照)。

 

ソフトウェア開発に愛用している生産性向上ツールを教えてください。デスクトップでは何を使っていますか?

ssh、sshfs、git、そして kvm です。特に珍しいツールは使っていません。開発の作業は、できるかぎり研究室にある大きなビルド システムで行うようにしています。そして、そのビルド システムに複数のシン クライアント システム (主に kvm 仮想マシンのデスクトップやネットブックなど、ヘビーな作業ができない環境) を通してアクセスしています。GUI スタイルのエディターを未だに愛用していて (以前は nedit も愛用していましたが、最近ディストリビューションのサポートが良くありません)、開発用のマシンを sshfs でマウントすることによって、素早いローカル エディットとリモート ビルドのサイクルをまわし、kvm でテストすることが可能となります。あ、それと、Dave Jones のトリニティ テスト ツールもバグを見つけるにはとても優れています。

デスクトップに関していうと、ある意味で流れに乗るようにしています。複数のマシンを使っているので、設定や環境を常に同期させるのに手数をかけたくないし、コンフィギュレーションの作業が少ない方がいいのです。ですから、ディストリビューションがデフォルトとして決めたものをそのまま使っています。現在は Ubuntu 12.04 で Unity を使っています。気に入っているとはいえませんが、なんとかやっています。

 


どのようにして Linux カーネル開発をするようになったのですか?

1997 年、私が大学生になったころから Linux をいじるようになりました。当時、新しい Linux ユーザーは自分でカーネルを組むことが一般的に推奨されていました。その後すぐに、私は Linux にフルタイムで関わるようになり、システム関連の受講を増やすにつれて、カーネル開発への興味も増しました。lkml.orglwn.net をフォローすることによって Linux のコミュニティがカーネル開発の環境として非常に興味深いものであることが明確になりました。2001 年に大学を卒業し、Linux カーネル開発に関わる職を求め、IBM の LTC に就職しました。現在もここに勤めています。



Linux カーネル開発のどんなところに魅力を感じていますか?

みんなが協力し合う開発の特性がとても好きです。時にはぶつかり合うこともありますが、大部分は協力的ですし、世界中の賢い人たちと接することができるのがすごいことだと思います。変更や提案が拒絶され、全く受け入れられなくても、すべてが公表されているので、ほかの誰かがそれを見て何かを学び、別の角度から問題に取り組み、より優れたものが出て来ることもあります。また、チームやプロジェクトを変えても、現在取り組んでいる作業以外の領域に引き続き参加し、影響を与え、支援することができます。

カーネル コミュニティのプロセス自体は簡単ではないですし、後退することもよくあります。しかし、不断の反復的な改良と、クイック ハックへの強い抵抗は、価値ある結果をもたらします。困難を乗り越え、自分のコードがやっとアップストリームに統合され、たくさんの人たちがそれをこの先何年も使い、改良を加えたりすることを考えると気分は最高です。

 

共同開発作業で経験したこと (炎上、ありえないコード投稿、すばらしい成果など) で、最も面白かったのはどんなことですか?          

特にひとつだけ思い浮かべることはできませんが、一般に、賢い人たちが楽しみながら仕事をしているようなカジュアルで愉快な感じがとてもすばらしいと思います。lwn.net quotes of the weekを見るとそれがよくわかります。

 

参加を希望している開発者に対して、何かアドバイスはありますか?          

ひとがあまり好まない分野を見つけて、それを研究してください。

総じて、粘り強さと他人を理解する気持ちは大切だと思います。特に考えが相違する場合、ほかの人の視点で物事を考えることは大変です。それと自分のエゴを前面に出さないようにしてください。炎上は個人に向けたものではないのです (そう見えても)。対応に悩んだら、一晩置いて翌日に返信してください。自分の作業を破棄し、再試行を余儀なくされることも多々あるでしょう。

 

コードを書くときには何か聴いていますか?

音楽は集中して聴きたいので、仕事中は逆に気が散ってしまいます。でも時にはコードを書いている最中にポリカやテレフォン・テル・アヴィヴなど、比較的ゆったりとした音楽を聴くこともあります。

 

あなたとやりとりできるメーリング リストや IRC チャネルは何ですか?そして、あなたと会えるカンファレンスは?

#linux-rt、#linaro-kernel、lkml。Linux Plumbers Conf には何年か連続でなんとか参加しています。Linaro Connect もいくつか参加しましたが、私はカンファレンスに必ず登場する存在ではありません。

 


30人のLinuxカーネル開発者:Paul E. McKenney
本シリーズの最後を飾るのは Paul E. McKenney です。彼が夢中になっているカーネル開発作業は IBM がサポートしているそうです。また、彼がなぜ vi を使っているかや、Alexey Kuznetsov からどのように刺激されて Linux に関わるようになったか語ってくれました。そこには皆さんの想像とは少し違う経緯がありました。
30人のLinuxカーネル開発者:Frédéric Weisbecker
今週の30 人の Linux カーネル開発者シリーズでは Frédéric Weisbecker に話を聞きました。フランスの北東部に住んでいる彼は、Linux に関わるようになったきっかけや、同じような道を歩もうとしている人達にとって有用なアドバイスを語ってくれました。Linux コミュニティでのエイプリル フールにまつわる楽しいパッチも教えてくれました。
30人のLinuxカーネル開発者:Herbert Xu
30 人の Linux カーネル開発者シリーズも残すところ 3 人となりました。Linux 開発のコミュニティの貢献者についてさらに知っていただくため、引き続き新たなシリーズを開始する予定です。ご提案やフィードバックなどありましたら、ぜひコメント欄でお知らせください。今週は Herbert Xu を紹介します。彼の回答は簡潔で賢明です。
30人のLinuxカーネル開発者:Chris Mason
30 人の Linux カーネル開発者シリーズも残すところ数人となりました。今週はカーネル開発者であり、また Btrfs メンテナーでもある Chris Mason を紹介します。 彼のデスクトップ、生産性向上ツール、そしてお気に入りの炎上のエピソードについて話してくれました。また、カーネル開発に参加するためのアドバイスもしてくれました。
30人のLinuxカーネル開発者:James Bottomley
30 人の Linux カーネル開発者シリーズの 26 週目を飾るのは James Bottomley です。彼の日中の仕事は何なのか、なぜ彼は SCSI メーリングリスト上で他の人に異議を唱えるのか、そしてなぜ Bell Labs が彼に Windows から Linux への移行を許可したのかについて話してくれました。
30人のLinuxカーネル開発者:John Stultz
今週の 30 人の Linux カーネル開発者シリーズでは John Stultz を紹介します。彼は Portlandia をベースとし、現在は IBM から Linaro プロジェクトに出向しています。彼の Linux との「恋愛」関係は 1997 年に始まりましたが、その選択に満足して、過去を振り返ることはありません。
30人のLinuxカーネル開発者:Jonathan Corbet
今週の 30 人の Linux カーネル開発者シリーズでは Jonathan Corbet を紹介します。彼をよく知っている人も知らない人も、このインタビューを通じて、彼がコロラド州のボルダーに住むようになったわけや、彼の父親にちなんで名前がつけられたスキーの難コースのこと、デスクトップで走らせているもの、そして Linux コミュニティに参加しようとする Linux 初心者へのアドバイスなど、彼に関する新しいことを知っていただければ幸いです。
30人のLinuxカーネル開発者:Glauber Costa
LinuxCon Europe の後、一息ついている間に 1 週間中断してしまいました。今週から、Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズを再開します。このシリーズも 23 週目を迎えましたが、今回紹介する Glauber Costa も世界有数の才能豊かなソフトウェア開発者です。
30人のLinuxカーネル開発者:Stephen Hemminger
Stephen Hemminger は ネットワークの専門家であり、Bridge ユーティティと iproute2 ユーティリティのメンテナーを務める Linux カーネル開発者です。今回の Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズでは、Stephen Hemminger が彼のカーネル開発キャリアにおいて最も印象に残った出来事について説明してくれました。それは、小さなプロジェクトがとても大きな影響力を持つようになったことでした。
30人のLinuxカーネル開発者:Steven Rostedt
Steven Rostedt は Red Hat でリアルタイム パッチの安定版カーネルのメンテナーをしています。今回の Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズで、Steven Rosted は彼のキャリアがどのようにして Lockheed Martin から Linux カーネルへと移行し、最終的にカーネルの職についたかを説明してくれました。彼がカーネル開発者になっていなかったら何をしていたでしょう?スターバックスのフランチャイズ店です。
30人のLinuxカーネル開発者:H. Peter Anvin
30  週に渡り多彩な Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズは 20 週目を迎えました。今週は H. Peter Anvin に話を聞きました。彼と Linux の関わりは 1992 年に始まりましたが、そこには入院、盗まれた OS/2 マニュアル、そして公衆電話で注文したコンピューターが関係していました。
30人のLinuxカーネル開発者:Chuck Lever
30 週に渡り多彩な Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズ、今週は Oracle の Chuck Lever に話を聞きました。彼は Linux NFS と FedFS の実装の仕事をしていますが、Linux に関わるようになったのはミシガン大学に在学中でした。彼から Linux 初心者へのスペシャル アドバイスがあります。コンピューター史上最大の共同開発プロジェクトの一員の面白い見識を、ぜひどうぞ。
30人のLinuxカーネル開発者:Jiří Kosina
30 週に渡り多彩な Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズ、今週は Jiří Kosina に話を聞きました。彼は、なぜ Linux が推理小説の「誰がやった?」ストーリーに似ているのか、また、なぜ Linux の仕事がかっこいいということだけでは動機として不十分なのかについて話してくれました。
30人のLinuxカーネル開発者:Laurent Pinchart
Linux カーネル開発者の Laurent Pinchart (「メディア コントローラーの人」として知られている) はビデオ キャプチャーとディスプレイ関連の仕事をしています。彼が Linux に関わるきっかけとなった幸運な出来事や、彼の開発したフリー ソフトウェアを台湾のある企業が 5 万米ドルで譲ってほしいと持ち掛けてきた時の思い出について話してくれました。本シリーズで取り上げた他の開発者の多くと同じように、Linux に対する彼のモチベーションにはお金以外の何かがあるようです。
30人のLinuxカーネル開発者:Jiří Slabý
30 人の Linux カーネル開発者シリーズ第 16 弾へようこそ。今週は、若き開発者 Jiří Slabý に話をききます。彼は Linux カーネルの仕事が好きな理由を次のように語っています。「カーネルを完全に理解することは誰にもできないからです。常に変化を遂げるエコシステムであり、常に新たなことを学ぶ必要があります。そして、この仕事に関わる人達です。彼らから本当のプログラミングを教わりました。」
30人のLinuxカーネル開発者:Mauro Carvalho Chehab
今週の 30 人の Linux カーネル開発者シリーズでは Mauro Carvalho Chehab を存分に紹介します。彼は Linux カーネルのメディア サブシステム メンテナーとしてブラジルで活動しながら、新人の開発者がコミュニティーに貢献・協力できる最善の方法を学ぶ手助けをするために、できる限りの時間を費やしています。
30人のLinuxカーネル開発者:Ben Hutchings
今週の30人のLinux カーネル開発者シリーズでは Ben Hutchings を紹介します。彼はいろいろな活動を行っていますが、とりわけ Linux カーネルの Debian パッケージ メンテナーとして活躍しています。彼は「Linuxに関わりたいなら、小さなことから始めて徐々に“脳外科手術”へと進んで行ってください。」と語っています。
30人のLinuxカーネル開発者:Julia Lawall
8 月末にサンディエゴで開催された Linux Kernel Summit、Linux Plumbers Conference、LinuxCon、CloudOpen など、コミュニティの人々が直接協調するイベントを無事に終えて帰って来ました。今週の 30 人の Linux カーネル開発者シリーズでは Julia Lawall を紹介します。彼女が Linux カーネル開発に関わるようになった経緯や、どんなところに魅力を感じているかについて話してくれました。
30人のLinuxカーネル開発者:Martin K. Petersen
今週、世界中の Linux カーネルの開発者達が、年に 1 度開催される Linux Kernel Summit に集合します。今回の開催地はサンディエゴで、LinuxCon と CloudOpen もいっしょに開催されます。ここに集まる開発者達は世界最高レベルとして知られています。今週はその中の 1 人である Martin Petersen を紹介します。彼は世界最大の共同開発プロジェクトの参加者であり、貢献者でもあります。
30人のLinuxカーネル開発者:Johannes Berg
Johannes Berg は、カーネル開発者としてワイヤレスコードと iwiwifi ドライバーのメンテナーを務めています。他の多くの開発者と同様、自分のコンピューターのハードウェアの問題を解決するために Linux に関わりはじめ、それ以来ほかのことをやろうとしたことはありません。彼は来週 LinuxCon North America に参加し、「Linux ワイヤレス スタックの設計課題と今後」について講演します。
30人のLinuxカーネル開発者:John W. Linville
30 週に渡り多彩な Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズの第 10 弾は、2006 年から Linux カーネルのワイヤレス LAN サブシステムのメンテナーをしている John Linville です。彼は「自分の仕事を細かく記録していませんが、同じ難題にもさまざまな取り組み方がありえます。」と話してくれました。
30人のLinuxカーネル開発者:Arnd Bergmann
30 週に渡り多彩な Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズの第 9 弾は、Arnd Bergmann です。彼が現在重点的に取り組んでいる作業や、Linux の新人への細かいアドバイスなどについて語ってくれました。
30人のLinuxカーネル開発者:Alan Cox
30 週に渡り多彩な Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズの第 8 弾は Alan Cox です。彼が Linux に関わることになった経緯や、なぜ今でもこの仕事が重要だと感じているのかを聞きました。音楽についても色々と教えてくれました。
30人のLinuxカーネル開発者:Paul Mundt
30 週に渡り多彩な Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズの第 7 弾は、SuperH アーキテクチャや AMR ベースの SH/R モバイル プラットフォームのコア部分に関わる開発を行っている Paul Mundt です。彼の 20 年近くにわたるカーネルの仕事について、実体験を交えながら語ってもらいました。彼の言葉から、共同開発作業は眠ることを知らず、大陸をまたぐフライトの間でも常に稼動していることが分かります。
30人のLinuxカーネル開発者:Dave Jones
30 週に渡り多彩な Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズの第 6  弾は、Fedora  カーネルのメンテナーの Dave Jones です。彼の仕事や考え方について色々と話を聞きました。
30人のLinuxカーネル開発者:Greg Kroah-Hartman
30週に渡り多彩な Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズの第5弾は、Linux ステーブル (安定版) カーネルのメンテナーで、Linux Foundation フェローでもある Greg Kroah-Hartman です。
30人のLinuxカーネル開発者:Jean Delvare
30週に渡り多彩な Linux カーネル開発者を紹介していくシリーズの第 4 弾はJean Delvare です。
30人のLinuxカーネル開発者:Sarah Sharp
30週に渡り多彩なLinux カーネル開発者をご紹介していくシリーズの第 3 弾は Sarah Sharp です。
30人のLinuxカーネル開発者:Thomas Gleixner
30人のLinuxカーネル開発者を毎週紹介していくシリーズの第2弾は、Thomas Gleixnerです。
30人のLinuxカーネル開発者:Linus Torvalds
  最初に登場するのは、もちろん Linux 創始者である Linus Torvalds です。今週 Linus は、ミレニアム技術賞のセレモニーに出席するために、故郷のフィンランドに帰っています。彼は 2012 年ミレニアム技術賞の共同受賞者(参考:もう一人の受賞者は山中伸弥教授)に選ばれました。彼は、フィンランドに発つ直前にこのインタビューに応えてくれました...

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