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濫読日記風、その4

芥川賞作家、村田沙耶香の消滅世界を読んだ。 殺人出産 (講談社文庫)も怖い小説だったが、本書も同系列である。 消滅世界は、子供をセックスではなく人工授精で作る近未来を舞台にしている。交尾は気持ちの悪いものとして考えられていて、家族の形も変わってくる。 「パートナーを選ぶ基準って、収入と家事の分担のバランス感覚の一致、信頼できそうな人か、雑談相手に向いているか……それくらいの直感でしょ。」 子供を持って育てるという価値観を揺すぶられる不気味さがある。村田沙耶香という作家は恐ろしい作家だと思った。 濫読日記風 濫読日記風、その3 http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20170409/p1 濫読日記風、その2...
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右利きのヘビ仮説、読了

右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)を読んだ。 なにこれ面白い。 右利き、左利きというのは小さい頃からの習慣でそうなるのか、遺伝的にそのような利き腕が決まっているのか、謎だ。よくわからない。人間だけではなく動物にも利き腕があるのかないのか。本書は生き物の「右と左」に関する進化の物語だ。 著者はひょんなことから、カタツムリを食べるヘビの話を聞いて、それに興味を持つ。カタツムリは右巻きと左巻きがあって、ニッポンマイマイ族は左巻きが何種類もいるらしい。そして左巻きのカタツムリが進化してきた理由はよくわかっていない。 ここで右向きのカタツムリを捕食する生き物がいれば左向きのカタツムリは進化しやすくなるはずだ。という発想から研究を始めたという物語である。 著者はそのような捕食者を求めて西表島にフィールドワークに行く。 そしてイワセキセダカヘビというのがカタツムリを食べるらしい。そしてその頭部の図を見ると下顎の鱗が左右非対称ということがわかった。その情報をもとに歯の形状を調べてみると、予想通り非対称で右向きのカタツムリを捕食しやすい。 ヘビとカタツムリを用いて実験をしていくのだけど、フィールドワークで餌となるカタツムリを探したり捕食者であるヘビを探したり、そして捕まえたヘビに右巻き左巻きのカタツムリを餌として与えたり、言葉にすると簡単だけど、実際やるのは大変だ。読者は、単にすげー、面白いーとお気楽でいい。 適応進化は、変異・選択・遺伝の三つの条件が揃うと自動的に進行する現象である。(59ページ)...
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濫読日記風、その3

勉強会とか専門書の読書会に行って良いことの一つはその道のエキスパートにお勧めの書籍を教えてもらうことだ。 「この分野は門外漢なんですが、お勧めの入門書はなんですか?」というのが私の定番の質問だ。これはどこでも使えるので是非活用してほしい。先日もenPiT WiTシンポジウム *1 というのに出かけて鳥井さんにお勧めの参考書を聞いてみた。 メタプログラミングRuby 第2版 2015/10 Rubyのしくみ Ruby Under a Microscope...
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ゲーデル、エッシャー、バッハ始めました

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版を読書中だ。 スゴ本オフを下北沢のB&Bでやった時に本棚の奥に鎮座している本書をゲットした。30年以上前に書かれた本の20周年記念版の翻訳である。 20周年記念版には、著者による序文が付いている。本書は何について書かれた本なのか? 評判は昔から聞いていたいのでいつかは読んでみたいと思って今に至るわけであるが、何の本なのだろうか?数学の本かなと予想しつつも読み始めた。Facebookで知人たちは、デザイン、数学、Art、思考の本だとか何とか。 序文で、著者は1980年に本書(ゲーデル、エッシャー、バッハをGEBと略す)がニューヨークタイムズのベストセラーリストに載った時(それもすごい話であるが)、タイトルの下の『実在は相互につながった組みひものシステムだとする科学者の論考』という要約がついたのだが、それについて全くもってたわごとなので講義したということを記している。 表題がすべてを語っていると多くの人が考えた。数学者と画家と音楽家についての本だと。著者はGEBはこの三人についての本などではまったくないという。ではGEBとは何なのか?何に関する本なのか? 序文の4ページ目(P-4)によると「GEBは、生命のない物質から生命のある存在がどのように生まれるかを述べようとするたいへん個人的な試みだ。自己とは何であり、石や水たまりのように自己をもたないものからいかに自己が生まれるのか。(中略)。GEBは、ゆっくりとアナロジーを組み立てることによってこうした問題に取り組む」 何に関する本なのか?読み解くことによって徐々に明らかになるのだろうか?自分は本書の謎を読み解けるのだろうか?興味は尽きない。 20周年記念版で追加された序文だけで40ページある。索引も含めると本文は763ページある。鈍器にもなる大著だ。 序論、第1章、第2章(79ページ)まで読んだ。時間はかかるが読み進めるのが楽しみだ。どんな世界が待っているのだろうか。 時々、感想をここで報告するつもりである。かつて「虚数の情緒―中学生からの全方位独学法」の感想を書いたのと同様に。 虚数の情緒 虚数の情緒、第1部独りで考えるために0章方法序説:学問の散歩道、読了 http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20160321/p1 虚数の情緒、第II部 叩け電卓!掴め数学!4章 無理数:比で表せない数まで読了 http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20160420/p1...
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濫読日記風、その2

備忘録的に濫読日記風を続けてみる*1 積読解消に役に立っているのかいないのかがわからない感じがいいね。 人工知能はいかにして強くなるのか? 対戦型AIで学ぶ基本のしくみ (ブルーバックス) チェスや碁のような対戦型完全情報ゲームのプログラムについての解説書。人工知能そのものの入門書というよりも対戦型ゲームの発展の歴史を記したものだ。 途中、回帰分析、主成分分析など数式が出てくるが、本書を読むのにあたって、難しかったら読み飛ばしても構わない。 チェッカーの棋譜の読み方など知るわけはないのだけど(88ページ)、127ページに読み方が書いてあるので、頭からずんずん読むタイプだと戸惑ってしまう。 内容は平易に解説されているので、コンピュータによる対戦型完全情報ゲームの実装について知りたい向きにはおすすめである。 碁のチャンピオンに勝ったAlphaGoのアルゴリズムの概説を知りたい人にもおすすめである。...
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代替医療解剖、サイモン・シン他を読んだ。おすすめ

代替医療解剖 (新潮文庫)を読んだ。 科学的根拠に基づく医療をテーマに、様々な代替医療についてその有効性と危険性について検討している。検討している代替医療は、鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法である。付録に代替医療便覧として30種類ほどの代替医療の有効性について書かれている。 医療が祈祷師による経験と勘によるものから科学的な実験観察によって発展してきた歴史を概観する。 「医学研究に関わる全ての者にとって、結果を発表しないことは重大な職務怠慢である。なぜなら情報の公開には二つの点で大きな影響があるからだ。第一に、他の研究者に対し、結果の再現に取り組むように促すことになる。第二に、新しく得られた結果を広く知らしめることで、その知識をみんなが利用できるようになる。46ページ」 「《科学的根拠にもとづく医療》は信頼性の高い情報を提供することによって医師を助け、最適な治療を受けられる可能性を高めて患者に利益を与える。二十一世紀の私たちにとって、医療についての決定を下す際、科学的根拠(普通はランダム化臨床試験で得られる根拠)を用いるのは当然のように思えるかもしれないが、《科学的根拠にもとづく医療》の出現は、医療の歴史における大きな展開点だったのである。50ページ」 サイモン・シンの説得力のある記述によって、馴染みのない分野が生き生きと描かれている。 代替医療側の主張に対し、一つ一つ丁寧に反論を加えている。信じるも信じないも読者次第だが、私は筆者の主張には説得力があると感じた。 ネタバレになってしまうのだけど、本書で取り上げた代替医療の効果は科学的根拠はないと言い切っている。あったとしてもプラセボ効果の域を超えない。 文庫本のあとがきに本書刊行後の事件も載っていて興味ふかい。一つは英国カイロプラクティック協会から名誉毀損で訴えられたこと。それをきっかけに様々な運動が始まり、科学的な根拠がないまま治療効果をうたって、子供に施術しているカイロプラクターを見つけだし、告発するという摘発キャンペーンなどが行われた。...
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東海道五十三次(その10)。岡部から金谷まで歩いた。大井川を超えたよ。

青春18きっぷを使って、久しぶりに東海道五十三次を歩いた。前回は夏の真っ盛り。熱でやられて3日かけて静岡で旨いものを食っただけの印象しかない。 *1今回は前々回ご一緒した大学時代の友人と歩いた。 *2 0529 品川発で、横浜0548車内で友人と合流し、沼津乗換で 0830 に静岡に到着する。移動だけで3時間かかる。どんどん移動時間が増えていくので、歩く時間が減っていく。 品川0529発の東海道線は沼津まで直通で乗り換えが一回少ないので(通常はJR東日本とJR東海の境目である熱海乗り換え)、おすすめである。 岡部宿までは静岡からバスで移動した。バスはスイカを使えるので便利だ。丸一日かけて歩いたところをバスだとあっという間だ。安倍川餅屋やとろろ飯屋の前を通過。あーとろろ飯うまかったなあと思い出に浸る。 岡部宿から歩きを再開した。顔ハメ写真を撮って、ひたすら東海道を歩く。 今回の行程のハイライトは大井川越えである。川幅広い。てくてく。広い。てくてく。まだ向こう岸につかない。てくてく。江戸時代は関所になっていたので、橋もなければ船もない。増水すれば何日も足止めをされてしまう。難所である。 青春18きっぷは経済的でいいのだが、片道3時間以上の移動時間がだんだん重くなってくる。できれば、往復の移動時間の節約のため、一泊ないしは二泊して歩く時間を増やしたい。一泊すれば、次の日の開始時間を7時くらいにできるので、2時間程度は前倒しで出発できる。 そろそろ行き帰りは新幹線で楽をするという流れに落ち着きそうである。 参考文献 下記の参考文献は今回携帯しなかった。だんだん歩きに慣れてきてガイドブックをあてにしなくなった。ガイドブックを参考にしすぎると歩き方が制約されてしまう。歩きながらガイドブックを見るのが危険なのは、歩きスマホが危険なのと一緒だ。 前回、静岡のジュンク堂で見つけて購入した。旅手帳となっているので、メモ書きや歩いたところを塗りつぶすようになっている。鉛筆片手に書き込みながら歩くと面白いそうだと思った。 東海道散歩の友にお勧めである。 街道の概略と地図からなっている。地図はそれほど詳しくないが一里塚や宿の位置が記されているので大体の目安になる。 地図に東海道の解説をつけたという形式だ。1万分の1の縮尺はちょっと詳しすぎるかもしれない。歩くには25000分の1の縮尺でいいかもしれない。 風景 顔ハメ写真を撮った。今回唯一の顔ハメである。岡部から金谷まではあまり観光資源として東海道五十三次を売り出そうというような押し付けがましさは感じられなかった。 藤枝宿...
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濫読日記風

あれやこれや本を買い込んで並行して読んでいると積ん読が増えてくる傾向にある。図書館で借りることが多かったのだけど、色々な読書会に参加する機会も増えてきたので、それをきっかけに購入する本も多くなった。 読んだ本の感想を記しておかないと記憶がどんどん風化していく。読むスピードと書くスピードだと前者の方が早いので書くことを溜めてしまうと書かないうちに記憶が風化してしまう。書くことによって記憶を少しでも定着させたい。 感想を書いた本が必ずしもオススメのすごい本(スゴ本)というわけでもないけど、その玉石混交な感じもまたよろしいかと。 8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識 睡眠に関する最新の研究成果に基づいて書かれている。自分は夜眠れないというようなことはあまり(ほとんど?)ないのだけど、そのような人は本書を読むと快眠のヒントをもらえるかもしれない。 眠れない時に羊を数えるというのは、羊 sheep と眠り sleep...
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宇宙創成〈上、下〉 (新潮文庫)、サイモン・シン、読了

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)、 宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)を読んだ。 宇宙の誕生について、天動説から始まり、地動説、ニュートン力学を経てアインシュタインの相対性理論、そしてビッグバンとして知られる理論までを丁寧に解説した良書だ。 科学というのは小さな変化(発見)が積み重なって発展していくものだが、時々従来の理論では全く説明がつかない現象が発生する。 クーンは、「しばらく平穏が時期が続いた後、知的な暴力革命が起こるということが繰り返される」とした、それがパラダイム・シフトとして知られる現象だ。理論が突然変異して自然淘汰されるような進化の過程と言ってもいい。(下巻、150ページ) 天動説から地動説、ニュートン力学から相対性理論、宇宙創成のビッグバンモデル。科学理論のパラダイムシフトの間隔が近年短くなっている。 IT産業のパラダイムシフトも(というほど大袈裟じゃないかもしれないけど)、メインフレーム中心の垂直統合モデルからワークステーションを前提とした水平分散モデル、そしてクラウドへと変化していった。それに適応した企業が旧世代の企業を淘汰していった。 ソフトウェア開発パラダイムもウォーターフォールモデルからアジャイルモデルへ突然変異している。 イノベーションのジレンマはある世代の種が日常的に改良を続けても、突然変異によって新しく登場したそれより劣る種に淘汰されるということを示している。...
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SOLIDの特徴である「開発環境と実行環境の一体化」とは?(連載第二回)

SOLID紹介記事の第二回目として、今回はSOLIDの特徴である「開発環境と実行環境一体化のメリット」と一体化により実現できた「アドレスサニタイザ」について、その機能や仕組みの解説も交えて紹介いたします。 開発環境と実行環境一体化のメリットとは? iPhoneアプリは”Mac PCと統合開発環境であるXcode”が、Windowsアプリは”Windows PCとVisual Studio” さえあれば、ソフトのコーディング、コンパイルからデバッグまで一連の作業が行える、シンプルで応用的な開発環境になっていると思います。 一方で組込ソフト開発現場では、統合開発環境、コンパイラ、OS,デバッガといったツール類は、各々高機能化が進んでいるものの、その豊富な(複雑な!)機能を使いこなすためには単にツールを揃えただけでは不十分です。むしろ高機能になりすぎて、ツールの組み合わせに制約が生じてしまう等、シンプル化とは反対方向に進んでいるのかもしれません。 「組込開発向けでもシンプルで気の利いた開発環境が作れないか?」 続きを読む...
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