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Home LinuxCon Japan 2012特集 Best of LinuxCon Japan 2012

Best of LinuxCon Japan 2012

(英語版Linux.comの記事より。原文はこちら

過去最大規模となり、登録来場者 650 人を記録した今年の LinuxCon Japan のハイライトをお送りします。ここで取り上げたもの以外にも数多くのセッションがあり、そのほかに通路や休憩エリア、ランチ、ディナー、ドリンク タイムなどの各場面で活発な意見交換が見られました。来年のカンファレンスは、さらに盛大ですばらしいものになるでしょう。  

LinuxCon Japan attendees 2012

 

Apple のオープン ソース

先週の LinuxCon Japan では、The Linux Foundation のエグゼクティブ ディレクター Jim Zemlin が開会の辞の中で、「企業や開発者はなぜ、そしてどのようにオープン ソース ソフトウェアを利用しているのか」に焦点を当てました。彼によれば、Linux は「より良い技術革新の方法を世界に知らしめた」ものでした。なぜなら、単なるソフトウェアではなく、あるアイデアを生みだしたからです。そのアイデアこそが、"all of us are smarter than any one of us" (集団は個人より賢い: 三人寄れば文殊の知恵) です。共同開発を行うことでそのアイデアを生かし、新しい物をスピーディーに作り出すことができるのです。

6 個のスマートフォンを映したスライドが、ソフトウェアは差別化を図るためのものだという彼の主張を物語っていました。彼は「優れたソフトウェアを開発しようとするなら、オープン ソースをマスターする必要がある」と語りました。そして意外なことに Apple を引き合いに出しました。Apple はすべての製品でオープン ソースを使用しています。我々は「Apple は世界一閉鎖的な企業だ」と思いがちですが、実は Apple にとってオープン ソースは得意分野だと彼は言います。

iPhone 内部の法律上の但し書きを見ると、GPL の文言を見つけることができます。Apple は、BSD、WebKit、CUPS などの FOSS プロジェクトを製品で使用しており、オープンソース ソフトウェアの使い方を確実に理解して競争力を保っています。ですから、このカンファレンスは、みなさんのプロジェクトのために FOSS を最大限に活用する方法、つまりコミュニティと協力して最大の利益を得る方法を教えるためのものなのです、と彼は言いました。

 

Tizen は ユーザー エクスペリエンスをカスタマイズする

Zemlin 氏の開会の辞の後には、コラボレーションについて、その仕組みや意味などさまざまな面を語る基調講演が続きました。NTT ドコモ執行役員の永田清人博士は、モバイル通信企業である同社がモバイル OS の Tizen をどのように使おうとしているか、Tizen によって顧客の選択肢が増え、最終的に顧客満足が得られるのはなぜかについて語りました。Tizen を使用すると、通信会社はユーザー エクスペリエンスをカスタマイズでき、しかも安定した HTML 5 を利用し、異なる機種間でのアプリ移植が可能です。

 

パッチ採用のためのフォーマット キー

Greg Kroah-Hartman は、メンテナーの頭痛の種となるカーネル パッチ投稿の共通パターンを取り上げ、開発サイドの見識を語りました。投稿者が彼らのパッチを間違いなく適正にレビューしてもらうには、それなりの手順があります。メンテナーとして、彼が受け入れるすべてのパッチは、彼がいずれメンテナンスすることになると思われるため、パッチを無視するのも彼の判断に任されていると言います。しかし、パッチが適切に作成され書式化されていれば、その投稿者のコードは Kroah-Hartman らによるレビューを受け、さらにメインラインに送られる可能性があります。

Zemlin は、次の講演者を照会する前にこう語りました。「最近 Kroah-Hartman とアジアを旅行し、多くの企業に、アップストリームに送られるべきカーネル コードがいかに多く存在するかを今さらながらに痛感しました。そしてその理由の多くは、パッチの投稿方法やカーネル開発コミュニティとの交流方法を開発者らが理解していないことでした。The Linux Foundation は教育を提供することで、そのようなすべてのコードを活用し、Linux カーネルの改良に役立てたいと考えています。それが結果として、より良い Linux ベース製品を生み出すことになるでしょう。」

 

クラウドにおける Red Hat

次の講演者は、Red Hat の CTO 兼ワールドワイド エンジニアリング担当 VP である Brian Stevens でした。彼は同社の歴史、およびクラウドに重点を置いた今後の計画について語りました。当初、Red Hat を成功に導いたのは、Linux が提供していた価値ある提案でした。「それは弊社のカスタマーにとってあまりにも"価格破壊"で、信じることができなかったくらいです」と彼は言いました。Linux はハードウェアに依存しないため、カスタマーは 1 つのハードウェア ベンダーに固執する必要がなくなり、それが強力なセールス ポイントとなりました。そしてその強みはクラウドの世界でも生かされています。oVirt、OpenShift、OpenStack などのプロジェクトは、クラウド プロビジョニング/クラウド管理向けのベンダー中立なソリューションを提供してロックインを排除し、カスタマーは必要に応じてベンダーを選ぶ (切り替える) ことができます。

 

テクニカル トーク

午前の基調講演の後は、複数のトラックでさまざまな技術発表が行われました。たとえば、ソニーの Frank Rowand 氏は、リアルタイム カーネル パッチの現状について語り、パッチ セットのサイズが徐々に減ってきていることに目を向けました。Red Hat の Ric Wheeler 氏は、Linux ベースのストレージ サーバーを構築する立場から見た Linux ストレージ サポートの状況を解説しました。ストレージ分野にも良く似た状況はありますが、ストレージやデバイスの管理については、まだやるべきことがかなりあります。

 

組込み開発者のための LTSI

2 日目の木曜日には、まず NEC の柴田次一氏が長期サポート構想 (LTSI) を取り上げました。LTSI は、特定のカーネルを選んで 18 か月以上サポートし、組込み開発者の共通基盤を構築しようという取り組みです。選ばれたカーネルには、メインライン以外の追加機能も加えられます。3.0 ベースの最初の LTSI カーネルが、柴田氏の講演の直後に発表されました。また次のバージョンは 3.4 ベースが予定されているため、彼は 3.4 カーネルを利用した製品を検討するよう参加者に勧めました。

 

ディストリビューション最新情報

LinuxCon Japan のパネル ディスカッションの 1 つである「ディストリビューション パネル」では The Linux Foundation の Brian Warner 氏が進行役を務め、主要なディストリビューションの代表者らが討論しました。SUSE の Alan Clark 氏、HP の Bdale Garbee 氏 (Debian 代表)、Canonical の David Mandala 氏、ならびに Red Hat の Ric Wheeler 氏により、それぞれのディストリビューションの共通点と相違点について活発な議論が展開されました。

またサーバーだけでなく携帯機器の分野でも動きのある ARM サポートが話題に上り、Linux ディストリビューションの成長領域という見方が大半でした。デスクトップ vs. サーバー、仮想化 vs. クラウド、ユニークな「非商用」ディストリビューションである Debian、および今後のディストリビューションの機能などについて議論されました。

 

オープン コンプライアンス サミット

オープン コンプライアンス ミニサミットも木曜日に開催されました。これは終日を通してのセッションで、最後は、特にアジアにおけるコンプライアンスの問題についてのパネル ディスカッションで幕を閉じました。Opendawn の Shane Coughlan 氏が進行役を務め、パネリストとしてパナソニックの 高尾朗 氏、JVC ケンウッドの 園田剛男氏、Korea Open Source Software Law Center の Jong Baek Park 氏、Open Source Software Foundry Taiwan の Florece Ko 氏、ならびに Tjaldur Software Governance Solutions の Armijn Hemel 氏が参加しました。

参加者は、最大の課題の 1 つは企業の教育だという点で同意しました。コンプライアンスについて時々社内で語れる人物を見つけることが難しいため、企業での教育が難しいのが現状です。しかしこのパネル ディスカッションで見られた異なる企業/組織のコラボレーションから、そうした問題の解決の糸口を見ることができました。

 

ギークのアピール

最も「ギークのアピール」を見せた発表の 1 つが、Shane Coughlan 氏と Karl Lattimer 氏が飛行機ロボットを使って行った OpenRelief プロジェクトの紹介でした。この飛行機は見た目は可愛らしく、ハードウェアの詳細も大変興味深いものですが、そのプロジェクトの目的は、災害支援で使用できる低価格の「使い捨て」無人飛行機を提供するというものです。このプロジェクトは、昨年日本で発生した地震と津波の後に Coughlan 氏が参加した救済活動での経験と、LinuxCon Japan 2011 での「震災支援活動に関する技術面での解決策」という討論から生まれました。

Coughlan 氏が経験した問題の 1 つが、支援チームの情報入手を阻む「濃い煙霧」でした。この無人飛行機を使えばチームの視界が広がり、煙霧を通過して目的を達することができます。また、オンボード カメラのほかに低価放射線センサー (将来的には化学物質なども検出) のインタフェースも備え、30km 離れた地点までのようすを正確に伝えることができます。もちろんまだまだ課題がたくさんあるため、OpenRelief はこのプロジェクトに時間と能力を提供する興味のある協力者を求めています。

(OpenRelief に関する The Linux Foundation のブログを参照。)

 

コミュニティ参加方法

カンファレンスは、アジアの開発者に向けて、さらに深くコミュニティに関わるためのアドバイスで幕を閉じました。Parallels の James Bottomley 氏は、技術面での貢献とは全く異なる「社会的面での貢献」について語りました。新しい機能は、カーネルに組み込まれる前に、その機能に関心のあるユーザーや開発者のコミュニティがその機能をメインラインに入れる手伝いをしたくなるように、認識されている必要があります。他の開発者やメンテナーとカンファレンスで交流することは、そのプロセスを開始するための重要な手段です、と Bottomley 氏は語りました。

最後のセッションは、Bottomley 氏が進行役を務めるパネル ディスカッションで、参加者は IBM/Linaro の Arnd Bergmann 氏、日立製作所の平松雅巳氏、Red Hat の Hervert Xu 氏、ならびに Oracle の Chris Mason 氏でした。テーマは、アジアおよび欧州のカーネル開発者が直面している問題とその解決策でした。平松氏は、「パッチは時間をかけて完璧にするよりも、早く投稿するべき。考えるより行動しよう (don't think, just do it)」とアドバイスしました。他の参加者も同様の趣旨を異なる表現で語りましたが、平松氏のこの言葉がそのすべてを要約しています。

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