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発表から 18 か月、99 ドルの Parallella スパコンがついに出荷開始

原文は 8 月 26 日に掲載されました。原文へのリンクはこちらです。

Parallella-board

昨年 1 月、私は、手ごろでオープンな並列コンピューティング プラットフォームに取り組む野心的プロジェクトについて書きました。同プロジェクトはその 3 か月前に Kickstarter キャンペーンを成功させ、90 万米ドル近くの開発資金を集めていました。

それから多くのことが起こり、残念なことにハードウェア プロジェクトにありがちな遅れが生じました。しかし、99 ドルという価格で画期的に消費電力の小さい高性能コンピューターを開発するのは決して容易ではありません。特に片手で数えられるほどの人数のコアチーム、加えて半導体のスタートアップ企業であるという状況ではなおのことです。

しかし嬉しいことに、Kickstarter キャンペーンのすべての支援者たちが Prallella ボードを見返りとして受け取り、同ボードがようやく一般に購入できるようになり、さらに最近では海外にも販売されるようになりました。そして、この 18 か月の間に達成されたことの素晴らしさを多くの方にご理解いただければ幸いです。

メニーコア プロセッサを装備した低価格のオープン ハードウェア コンピューター (しかも、多くのドキュメンテーションや GNU ベースのソフトウェア開発キット (SDK) が自由に入手できる) が存在するということは非常に大きな前進です。そしてこのプラットフォームには、袖まくりして並列コンピューティングを習得しようとしている、活発で着実に成長を続けるコミュニティがあるということは非常にワクワクすることです。

Parallella diagram

今後について考える前に、まずこれまでの歴史を少し見てみましょう。

すべてが順調な航海ではなかった

Kickstarter キャンペーン自体がジェット コースターのように状況の変化が激しいもので、一時は資金目標を達成できないようにも思えましたが、幸いキャンペーン終盤にかけて支援が急増し、目標金額を約 15 万ドル上回りました。

キャンペーン終了の数か月後、支援金額が多かった人たちに向けて最初の試作品が提供され、2013 年 2 月には仮のハードウェア リファレンス マニュアルとともに最終的なフォーム ファクター ボードのリビジョン 0 基板配置が発表されました。

同月、SDK (GNU ツールチェーン、および Epiphany ドライバーとライブラリ) 全体のソース コードが発表されました。その後 3 月にリビジョン 0 ボード デザインが製造に提示され、すぐに最初のボードが製造されて、5 月までに Linux をブートすることに成功しました。

その後数か月間、多くのテストが行われ、周辺機器が立ち上げられ、デバイス ドライバーが作成され、ボードへの早期アクセスを希望する支援者にリビジョン 0 が届けられました。そしてテストの結果やコミュニティのフィードバックを受け、デザインが更新されました。

しかし、6,300 枚のボードのための部品を調達するのは難しく、あわせて Epiphany チップのパッケージングに変更が必要となり、2013 年 6 月にはプロジェクトが予定よりも遅れることとなりました。その後数か月、エンジニアリング チームの主要メンバーが去り、資金繰りも厳しくなり、さらなる停滞に直面しました。

約束通りに出荷

暗い数か月の後、Antimicro がエンジニアリング チームに加わり、財政上の課題も解決の兆しが見え、2013 年 10 月までには再び状況が好転しました。

12 月、Adapteva が一連の資金調達を完了したことを発表し、同じ月に最初のリビジョン 1.1 (最終デザイン) のボードが組み立てられました。これらを大量に製造するために、また部品調達の課題が生じ、長いリードタイムが予測されました。しかしこれらの課題を乗り越え、生産は 2014 年 2 月に最も繁忙となり、1 か月で 1,500 枚のボードを出荷、5 月初旬までには支援の見返りとして必要な数の 97% を出荷しました。

一般販売

現時点で 10,000 枚超のボードが、Kinckstarter プロジェクトの後援者とキャンペーン終了後にプレオーダーをした人たち、およびその後の Adapteva Web 経由の販売向けに出荷されました。また、100 校近い大学が Parallella University Program (PUP) 経由でフリー(このフリーは「無料」と「自由」の両方を意味する) ハードウェアを受け取っています。

そして最後に、これらのボードは現在米国内では Adapteva から直接、もしくは Amazon 経由で一般に販売されており、最近では国際的な販売パートナーの RS Components 経由で米国外にも販売されています。

次の目標: アップストリーム

もちろん、ハードウェアの話は全体の一部に過ぎません。重要な目標はすべてのドライバーをアップストリームに統合し、フォークやパッチを利用することなく、メインラインですべてのデバイスがサポートされるカーネルを誰もが作れるようになることです。これは著しく意味のあることです。これによりカーネルの更新をタイムリーに行ったり、あるいは Linux ディストリビューションが Parallella ボードに対するサポートを実施したりしやすくなります。

これは過去の経験がものを言う分野のひとつであり、専門家の Andreas F?rber の助けを受けることができたのはこのプロジェクトにとって幸運でした。彼はパッチを準備し、それを linux-arm カーネルのメーリング リストに配信し、必要な箇所を変更するなどしてきました。

ソフトウェア サポート

Ubuntu は正式にサポートされている Linux ディストリビューションであり、Linaro ビルド ベースでバイナリ イメージが提供され、現在のバージョンは 14.04 です。しかし、今のところ変更がアップストリームに採用されるまでカスタム カーネルとデバイス ツリーを使用しなければなりません。

非公式の Debian 7.0 イメージもありますが、armhf アーキテクチャ ビルドを持っているディストリビューションであれば、ほぼすべてのディストリビューションで実行できます。ただし、前述のカーネルとデバイス ツリーが FPGA コンフィギュレーション ビットストリームとともに SD カード内の BOOT ファイルシステム上になければいけません。

Zync SoC の温度を監視したり、環境変数をフラッシュから読み取ったり、GPIO を働かせたりできるユーティリティ セットも提供されています。

前述の通り、Epiphany SDK は昨年初めから入手可能で、Epiphany チップのプログラム方法をデモで示す簡単な例が提供されています。COPRTHR SDK は Epiphany SDK 上に作られ、OpenCL の開発をサポートしています。これもまたプログラム例が付いています。

ソフトウェア協業プラットフォーム Launchpad には Parallella Team が用意されており、現在 Parallella ユーティリティのパッケージ版の入ったスナップショット PPA (Personal Package Archive) が置かれています。SDK もパッケージにする計画があります。

コミュニティ プロジェクト

遅れがあったり、ハードウェアの大量出荷が少なくとも 6 か月前までなかったりと、コミュニティが Parallella でどのようなものを作り上げるかを見るのは時期尚早です。とはいうものの、今のところ確実に肯定的な兆しが見えています。

通称 Shodruky は最も多作な貢献者の 1 人であり、実時間レイ トレーシング、マンデルブロ集合の計算と描画、および MS Kinect センサーの深度データのカラー化・縮尺調整・描画などのを提供しています。

他のコミュニティ貢献の例では、統計プログラミング言語 R 内で Epiphany アクセラレータを使用する例が示されています。このプロジェクトは Google Summer of Code (GSoC) の一部として始められましたが、John the Ripper パスワード クラッカーを拡張して Epiphany アクセラレータを使ったところ、CPU や GPGPU よりも消費電力効率が 25 倍向上しました。

ハードウェア ハッキングに関して今のところ最も印象的な貢献は Sylvain Munaut によるもので、彼は昨年、Myriad-RF ソフトウェア無線 (SDR) トランシーバー モジュールを統合するためにプロトタイプ システムを作り始めました。最近では、彼が取り掛かっている LCD タッチスクリーン インターフェイスの詳細を公表しています。Brian Guarraci も特筆すべき人です。彼は Cray 1 や Connection Machine などの典型的なスーパーコンピューターを参考とした設計の 8 ノード クラスタを作りました。

さらに有効なものに

当初の約束を果たし、ボードが一般にも販売されるようになり、さらにコア ツールが完備され、今問われるのは、コミュニティをより有効なものにするにはどうしたらよいかということです。私たちは着実に知見を積み重ねることができました。今後も SDK やドキュメンテーションを改善し、必要とされるパッチをアップストリーム、すなわち kernel.org に統合し、プラットフォーム上でより開発しやすくするためにツールをパッケージしていきます。しかし、いつものように皆さんの意見もぜひ聞かせてください

Andrew Back は Parallella のコミュニティ マネジャーです。

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