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Home 特集 コラム 赤井 誠の「Linuxビジネスの作り方」 「Linuxビジネスの作り方」VOL.12

赤井誠の「Linuxビジネスの作り方」

「Linuxビジネスの作り方」VOL.12

 

今回も、IT業界におけるキャリアとオープンソース、Linuxビジネスでの課題について、考えてみたいと思います。

前回、IT企業は人材育成計画をきちんと作るようになってきているのに対し、IT人材は、将来に対して不安を感じているという話を取り上げました。

引き続き、「IT人材白書2011」(独立行政法人情報処理推進機構)から見ていきましょう。

   「忙しい中でどのような勉強したらよいのかわからない」という設問に対しては、将来キャリアに不安があるグループで「あてはまる」と感じている人の63.3% に対して、将来キャリアに不安がないグループでは「あてはまらない」と感じている人が60.6%と、逆の割合になっている(図Ⅱ- 4 - 29)。  「IT人材白書2011」297p.

設問を言い換えると、将来キャリアに不安がないIT人材の60%にあたる人が、「どのような勉強をしたらよいか」を分かっているということなります。

この数年のIT業界での話題の1つは、「勉強会」だったといっても過言ではないと思います。今、日本全国でさまざまな勉強会が開催されています。

  IT勉強会カレンダー
    https://www.google.com/calendar/embed?src=fvijvohm91uifvd9hratehf65k%40group.calendar.google.com

このような勉強会ブームといった記事を多数見かけるようになったのは、2008年頃からではないかと思います。

 参考: よしおかひろたかの「初めての勉強会」 @IT 自分戦略研究所
       http://jibun.atmarkit.co.jp/lcom01/index/index_first.html

そして、OSCにおいても、2008年12月に福岡で開催された OSC Fukuoka 2008 において、次のような勉強会のセッションが開催されています。

  【特別企画】勉強会勉強会
   http://www.ospn.jp/osc2008-fukuoka/modules/eguide/event.php?eid=37

前回紹介した初期のOSCにおいては、「オープンソースで食べていけるか」という話題が多かったという話を紹介しました。2008年になってくると、「オープンソースで食べていっている」が、自己啓発などさまざまな目的で、「勉強会」を実施したり、参加したりするようになってきていることが推測できます。(もちろん、勉強会の中には、オープンソースに関係ないものもありますし、参加者の中には、IT業界とは関係のない方も参加されています。)

このような勉強会に参加する人たちは、前述の「IT人材白書」における「どのような勉強をしたらよいか」ということが分かっている人材層と一致するかもしれません。

これらの状況は、IT業界特有の現象なのでしょうか?

ご存知のように、長引く景気低迷、グローバリゼーションの進展などIT業界を取り囲む環境は、他の業界においても、大なり小なり同じような状況にあります。 参考として、平成19年に厚生労働省の『生涯キャリア支援と企業のあり方に関する研究会』 報告書 ( http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/07/h0720-6d.html ) を読んでみましょう。

   (4)キャリア支援
    
自己啓発の目的は、同「平成17年度能力開発基本調査」によると「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」79.3%、「将来の仕事やキャリアアップに備えて」53.4%、「資格取得のため」29.0%である。また、自己啓発の実施形態は、正社員においては「社内の自主的な勉強会・研究会への参加」42.8%、「ラジオ・テレビ・専門書・インターネットなどによる自学・自習」39.0%「民間教育訓練機関(民間企業、公益法人、各種団体)の講習会・セミナーへの参加」28.6%、「通信教育の受講」21.3%となっている(同「平成18年度能力開発基本調査」)。

他の業界においても、自己啓発の高まりがあり、また、勉強会などへの参加が多いことがわかります。
このような自己啓発の高まりの背景もあり、正社員のおよそ2/3人が、「自分で職業生活設計を考えていきたい」と回答しています。
つまり、自分のキャリアは自分で決めたい人が多数であり、また、そのために自己啓発に励んでいる状況が見えてきます。このような背景から、 大企業を中心に、従業員に対するキャリア支援の強化が図られていると考えます。
続けて報告書を見ていきましょう。  

    (キャリア支援)

     従業員の自己啓発意識の高まりに応じて、大企業を中心に、社内制度としてキャリア支援を行うところが増えてきている。キャリア支援の内容としては、キャリア・コンサルティング、カウンセリング等の相談、キャリア・プランの策定支援、自己啓発・能力開発の支援、教育訓練休暇などの休暇の付与や、自己申告制、FA制、公募制などの主体的なキャリア・プランを尊重した配置・任用の仕組みなどである。    

    (略)

    また、どのような場を通して従業員に自分自身のキャリア形成を考えてもらうようにしているかについては、「上司との面談」が48.0%で最も多く、以下、「教育訓練機関の情報提供を通して」29.2%、「自己申告制度」27.7%、「そのようなことは特に行っていない」22.8%となっており、専門的なツールを持ってキャリア支援を行っている企業は少数にとどまっている(キャリア・コンサルティング協議会「平成17年度能力開発基本調査」)。      

さまざまな施策が行なわれていますが、キャリア形成を考えてみるきっかけのトップは、「上司との面談」であり、次が「教育訓練機関」を通じてとなっています。
では、実際に、上司との面談や専門組織での教育で、状況が改善していているのでしょうか?  IT業界の状況を見ると、次のような状況にあるようです。

「上司」
    → 確かに部下のキャリアに対して、支援することが求められていることは理解している。しかし、組織のフラット化などの進展により、一人の管理職が管理する社員数が20名を超えていたり、売り上げに対するプレッシャーが高いなどから、十分な面接時間をとることができない。または、キャリアに対して、部下に考えを教えるスキルが十分でない。

「教育訓練機関」
    → 専門的なツールなどはそろっているが、IT業界特有の技術動向まではわからない場合が多く、具体的な悩み(特に多いのは、技術トレンドの変化に合わせたキャリア対処。例えば、今後クラウドテクノジーに関係した職を考慮すべきかなど) になると、カウンセラー対応しきれない状況になることもよくある。

では、今後、どのように取り組んでいけばいいのでしょうか?  次回は、いくつかヒントになるようなことを紹介したいと思います。

次回をお楽しみに。


 

著者プロフィール

赤井 誠(あかい まこと)
赤井 誠(あかい まこと)

MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長。
日本ヒューレット・パッカード株式会社に入社後、HP-UXやHPソフトウェアの開発に従事。その後、マーケティングに移動し、HP製品だけでなく、各種ISV製品販売推進を担当。サービス事業戦略部門を経て、2003年からLinuxビジネス立ち上げのリーダーとなり、日本HPをLinux No.1ベンダーに導く。ハイパフォーマンス・コンピューティング、VMWare、Microsoft Windows、HP製クラウド管理ソフトウェアのビジネス開発担当を歴任。2010年より、株式会社サイバーリンクスにて新規事業開発に従事。2011年4月 MKTインターナショナル株式会社を起業し、現職。
『マックで飛び込むインターネット』(翔泳社) の執筆以降、ライター活動も実施中。『MySQLクックブック』『JBoss (開発者ノートシリーズ) 』(オライリージャパン) など多数。
ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の所属する組織とは何ら関係はありません。

Twitter id:  mktredwell

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