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Home 特集 コラム 赤井 誠の「Linuxビジネスの作り方」 「Linuxビジネスの作り方」VOL.13

赤井誠の「Linuxビジネスの作り方」

「Linuxビジネスの作り方」VOL.13

 

今回は、IT業界におけるキャリアとオープンソース、Linuxビジネスでの課題について考える最終回です。

前回、企業におけるキャリア支援と自己啓発の話をしました。今回は、さらにこの内容を掘りさげましょう。今回は、さきごろ開催されたキャリアに対するパネルディスカッション内容を参考にして考えたいと思います。

オープンソースカンファレンス2011 Tokyo/Spring は、2011年3月4-5日に東京・早稲田大学で開催され、過去最高の人数を集めて終了しました。
(http://www.ospn.jp/osc2011-spring/

このOSCに、私を含む有志で結成した『IT業界のキャリアデザインを支援する会』として初めて参加し、「オープンソース/クラウド時代のキャリアデザインとは」と題したパネルディスカッションを実施しました。 

今回のセッションを持った大きな理由は、前回まで説明した内容や問いかけに対して、IT業界の方々に、どのように自分のキャリアを考えていったらいいかというヒントを提示できればということからでした。できる限り実際の企業でマネジメントになっている方々に登壇いただき、昔ながらのIT業界という枠にとらわれずに、インターネットサービス企業や、企業の情報システム部門、そしてこれから社会人となる学生の方々に対して、普段あまり聞くことができない生の言葉を伝えようと思いました。

キャリアは、その人の人生の大きなパートを占めることになるので、今回のセッションを開催するにあたって、キャリアデザインについての書籍を中心に調査をしました。

残念ながら、キャリアについて簡単に見つかる情報の中心は、「転職」であることが多く、今所属する企業の中でキャリアを歩んでいく人に対しては、それらは、必ずしも、有益な情報ではありません。もちろん、、今回のセッションの目的は、転職の勧めではありません。

また、企業向けのキャリアデザインについての情報を調べると、ある企業における社内公募の仕組みなどを中心にした「プロセス」の話が多くありました。キャリアを形成するうえで、その企業でのプロセスは大変重要です。しかし、今回は会社の枠を超えてのセッションなので、この話は参考程度に活用しました。

調査を進めていく中で、「オープンソース/クラウド時代」のキャリアデザインともいうべきヒントとなる以下の書籍にたどり着きました。

■ 働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書) [新書] 金井 壽宏 (著)
 http://www.amazon.co.jp/dp/456961941X

この中で、今後の新しいキャリアを示すキーワードがリストされています(p58)。この内容が、まさにオープンソース・クラウド時代のキャリアをよく表していると思いましたので、一部を紹介しましょう。

  ◆ 境界のない
  ◆ 関係が中心
  ◆ 水平的、ネットワーク化された関係
  ◆ 少ない階層
  ◆ 対人スキル

イメージ的に、オープンソースコミュニティでの関係を表しているように思われませんか?  そこで、このようなキーワードで表されるキャリアを作っていくには、どうしたらよいのだろうか、というディスカッションを、OSCのセッションでのテーマとしました。

パネリストとして、大手ITベンダー 人事取締役、リムーバブルデータストレージベンダーの営業部長をお招きし、さまざまな意見を交換しました。

ディスカッションされたパネラーの意見をまとめると以下のようになります。

- これから、人生、仕事のさまざまな節目を迎えるだろう学生、社会人に、キャリアについて考える機会を持ってほしい。
- アメリカでは、同世代の人々が明確なキャリアプランを持っていたことが驚きだった。
- IT系については、他の業界に比べると、賞味期限切れになる期間が短いように感じられる。
- スキルがミスマッチの人が存在する。このミスマッチを減らしていかなければならい。そのためには、常に弾を込めてほしい。
- 個人のキャリア戦略と企業のキャリア戦略は同じだ。ニッチなところでチャレンジするほうが有利な場合もある。 
- オフショア、アウトソースが進む現在、付加価値がないとエンジニアとしてやっていけないという質問に対しては、どういう仕事は日本で必要とされるのかを考え、自分の価値とマーケットのニーズをどこでマッチングさせるかを考えることが重要との回答。すぐにできることはチャレンジすべきである。  
- 日本のように成熟した市場で闘うためには、必要よりも自分のやりたいことを突き詰めることも重要である。
- マネジメントする側になりたいがどうすればよいかの質問に関しては、スキルについては、オープンソースコミュニティをリードしていくことで学べることも多いと回答。

もちろん、これらの意見がすべて正解というわけではありません。しかし、参加者にとって、普段から自分のキャリアを見直す機会を持つきっかけになったのではと期待しています。 

当日使用した資料は、OSCサイトにアップロードされています。
   http://www.ospn.jp/osc2011-spring/pdf/osc2011spring_career_design.pdf

キャリアには、人事や雇用という観点も欠かせません。しかし、企業の中での人事に関わる動きは、外部からはどうしようもありませんし、また、個人としても対応しようもない場合も多くあります。そして、昨今の厳しい社会状況は、雇用そのものが不安定になりがちです。そのため、本稿で最後の紹介したい考えは、『働くひとのためのキャリア・デザイン』の中でも、取り上げられている「就業可能性(エンプロイアビリティ)」というものです。これは、個人が組織に対して絶えず「雇用に値する自分の能力」を持ち続けるというものです。つまり、他社でも欲しがるような就業能力を常に持ち、かつ高めておくことができていれば、人事に関わる動きに翻弄されたとしても、対応できることが多くなりますし、また、雇用の流動化にも対処できるようになると考えられるからです。

最後に、今、IT業界ではクラウドが大きな動きとなり、大きな地殻変動が起こっています。そして、話題のパブリッククラウドサービス提供企業のほとんどは、大規模にオープンソースを活用しています。 つまり、オープンソースやLinuxのビジネス動向や技術をきちんと理解できていれば、エンプロイアビリティを高められる可能性があると言えるかもしれません。
また、他にも、自分が将来的になりたい職種などを考えて、足りない部分を補っていく活動に取組むことも大切です。ぜひ、節目節目に自分のキャリアを考える機会を持ってください。

では、次回をお楽しみに。

 

 

著者プロフィール

赤井 誠(あかい まこと)
赤井 誠(あかい まこと)

MKTインターナショナル株式会社 代表取締役社長。
日本ヒューレット・パッカード株式会社に入社後、HP-UXやHPソフトウェアの開発に従事。その後、マーケティングに移動し、HP製品だけでなく、各種ISV製品販売推進を担当。サービス事業戦略部門を経て、2003年からLinuxビジネス立ち上げのリーダーとなり、日本HPをLinux No.1ベンダーに導く。ハイパフォーマンス・コンピューティング、VMWare、Microsoft Windows、HP製クラウド管理ソフトウェアのビジネス開発担当を歴任。2010年より、株式会社サイバーリンクスにて新規事業開発に従事。2011年4月 MKTインターナショナル株式会社を起業し、現職。
『マックで飛び込むインターネット』(翔泳社) の執筆以降、ライター活動も実施中。『MySQLクックブック』『JBoss (開発者ノートシリーズ) 』(オライリージャパン) など多数。
ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の所属する組織とは何ら関係はありません。

Twitter id:  mktredwell

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