twitter icon   twitter icon   rss icon

Linux.com Japan

Home 特集 コラム 飯尾 淳の「デスクトップ?何それ、おいしいの?」 【デスクトップ?何それ、おいしいの?】(2) -技術的課題はほぼクリア、ではなぜ広まらない?

飯尾 淳の「デスクトップ?何それ、おいしいの?」」

【デスクトップ?何それ、おいしいの?】(2) -技術的課題はほぼクリア、ではなぜ広まらない?

 

さて、課題抽出タスクフォースの研究成果として、日本OSS推進フォーラムのウェブサイトには、「OSSデスクトップ普及を阻害する要因の分析と解決に向けた取組みの提案」と題されたレポートとその英訳および続編が掲載されています。ここではその中身について説明はしませんが、50ページにおよぶ同レポート(2006年日本語版)では、普及阻害要因の分析として、1.技術的な課題、2.操作性、ユーザ教育、サポートなどの課題、3.セキュリティに関する課題、4.システムをとりまく環境に関する課題、5.導入・運用に関する課題、以上の5種類に分類された課題項目が列挙されています。

調査から6年ほど経過したいま、当時の状況と今を比べてみると、上記のうちとくに技術的な課題は、ほぼクリアされていることに気がつきます(ただし、個別の課題としてまだ解決していない技術的な課題も残されてはいます。この件については後述します)。一般的な環境でLinuxのデスクトップを使用するのであれば、技術的な問題点にぶつかるリスクは非常に少なくなりました。

しかし、実際にLinuxデスクトップは期待するほどには普及していません。なぜでしょうか。

大きな企業の場合、企業内で利用される情報システムは、専用にカスタマイズされたもの、あるいはその企業向けに構築されたものであるケースが主流でしょう。このようなシステムでは、クライアント端末であるデスクトップPCやノートPCは、もはや情報システムの一部に組み込まれていると考えたほうがしっくりきます。そして情報システムの一部としてクライアント端末をみた場合には、指定の部品を使わなければ、システムが全体として機能しません。

情報システムの一部として組み込まれている理由は、企業内で利用される情報システムを全体の系としてみたときに、クライアントのOS、ときにはハードウェアまで指定して、それを前提としてシステムを構築したほうが「短期的には」安上がりになるからです。特定のOSや特定のアプリケーション、ときにはバージョンまで指定されていることすらあります。具体的な例を挙げると、当のマイクロソフトに「腐った牛乳」とまで表現されたInternet Explorerのバージョン6(IE6)がよい例です。情報システムの一部に組み込まれているが故にこれを捨てられず、いまだに使いつづけている企業も多いことでしょう。

このような情報システムの作り方をしている環境では、クライアントとしてのLinuxデスクトップは「指定外の部品」です。もちろん情報システム部のサポート対象外であり、自己責任で運用しなければなりません。個別の課題として解決できない技術的課題は、このような状況の中で、いまだ亡霊のように残りつづけています。一般的な技術課題はほぼクリアされたと考えても間違いありませんが、個々のケースはそれぞれの事情があるため、なかなか一筋縄ではいきません。

では、情報システム担当者は、このようなLinuxデスクトップをどう使っているのでしょうか? 次回は、その点について触れます。

著者プロフィール

飯尾 淳(いいお じゅん)
飯尾 淳(いいお じゅん)

株式会社三菱総合研究所 主席研究員。2009年から東京農工大学の客員准教授を兼務。
専門は、画像処理、ユーザインタフェース、行動情報分析、等をテーマとした研究開発だが、開発プラットフォームとして初期のころからLinuxを利用するようになり、現在に至る。開発者かつユーザの立場で、Linuxデスクトップの普及推進に取り組んでいる。『Linuxによる画像処理プログラミング』(オーム社)、『C言語によるスーパーLinuxプログラミング』(ソフトバンク クリエイティブ)等、関連著書多数。HCD-Net認定 人間中心設計専門家。博士(工学)、技術士(情報工学部門)。

新着コラム

シェーン・コークランの「法務、ビジネス、そしてコミュニティの交差するところ」
シェーン・コークランの「法務、ビジネス、そしてコミュニティの交差するところ」
赤井 誠の「Linuxビジネスの作り方」
シェーン・コークランの「法務、ビジネス、そしてコミュニティの交差するところ」
シェーン・コークランの「法務、ビジネス、そしてコミュニティの交差するところ」
飯尾 淳の「デスクトップ?何それ、おいしいの?」
飯尾 淳の「デスクトップ?何それ、おいしいの?」

Linux Foundationについて

Linux Foundation はLinux の普及,保護,標準化を進めるためにオープンソース コミュニティに資源とサービスを提供しています

 

The Linux Foundation Japan

サイトマップ

問い合わせ先

サイトに関するお問い合わせはこちらまで

Linux Foundation Japan

Linux Foundation

Linux Training

提案、要望

Linux.com JAPANでは広く皆様の提案、要望、投稿を受け付ける予定です。

乞うご期待!