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Home 特集 コラム 風穴 江の「Post O Dream」 始まりのオープンソース

風穴 江の「Post O Dream」

始まりのオープンソース

 

 オープンソースは始まりであって終わりではない。あるいは、オープンソースは手段であって目的ではない、と言い換えてもいい。

 あるソフトウェアをオープンソースライセンスで公開するということは、そうすることによって「目指すところのもの」があるということにほかならない。不 特定多数による開発への参加を促し開発の負担を分散することが狙いかもしれないし、あるいは、入手や使用を容易にしてユーザの裾野を広げるという意図かも しれない。何を目指しているのかは、それぞれのソフトウェアやそれぞれのプロジェクトによって様々である。決して、オープンソースソフトウェアだからこう だという一義的な目的があるわけではない。しかし目的が何であれ、オープンソースは目的実現のための手段であることに変わりはない。すべてはそこから始ま るのであり、そこをゴールと考えてしまうとおかしなことになる。

 一方、フリーソフトウェア(自由ソフトウェア)は、それ自体が目的である。Richard Stallmanが1983年に始めたGNUプロジェクトは、フリーソフトウェアだけでUNIXのようなシステムを実現することを目指したものであり、そ こでは、ソフトウェアをフリーソフトウェアにすることそのものが「目指すところのもの」となっている。したがって自由ソフトウェア運動においては、あるソ フトウェアをフリーソフトウェアにすることはゴールであり、最終目的である。

 そもそも、フリーソフトウェアという語を代替するものとしてオープンソースという言葉が生み出された理由の1つは、ソフトウェアをGPLのようなライセ ンスで公開するという行為を、ソフトウェアの自由のためではなく、明確なメリットを期待できる手法として認知させたいということにあった。特にビジネス パーソンに対しては、オープンソースは利益や財産の放棄ではなく、むしろ開発コストの削減やビジネスの拡大につながり得る手段だということをアピールする 狙いもあった。

 ここで言うメリットの最も特徴的なものは、開発コストの分散(によって自身が負担するコストの低減)だ。オープンソースにしないという選択は、ソフト ウェアから得られる利益をすべて独占できる代わりに、開発コストを自分だけで負担する必要がある。しかしオープンソースにすることで外部の力を得られる可 能性が開け、そうなれば自分が負担する開発コストを減らすことにもつながっていく。あるいは、自分一人では到底出来なかったことを実現できる可能性もある (Linuxカーネル開発の成功は、まさにこれによる成果と言える)。

 つまり、オープンソースはメリットを明確に意識した手段であり、フリーソフトウェアは経済的メリットのあるなしにかかわらず達成されるべき目的である。 オープンソースにするということは、そこから始まるということであり、フリーソフトウェアにするということは、そこで目的を達成したということである。始 まりのオープンソースと、終わりのフリーソフトウェア。

 だからこそオープンソースの場合は、それによって何を目指すのかということが重要になってくる。オープンソースというだけで十把一絡げにできない所以である。

 

著者プロフィール

風穴 江 (かざあな こう)

1967年青森県生まれ。青森県立八戸高校卒。テクニカルジャーナリスト、コラムニスト

1990年から「月刊スーパーアスキー」誌(アスキー刊、1998年に休刊)の編集に参加。GNUプロジェクトなどのフリーソフトウエア動向を担当していた関係から、Linuxは、それが公開された直後からウォッチし続けている。1998年にフリーランスジャーナリストとして独立。そのかたわら、1999年4月から2001年5月まで、日本で初めてのLinux専門情報誌「月刊Linux Japan」の編集長を務める。1999年より「Japan Linux Conference」( http://lc.linux.or.jp/ )プログラム委員。2002年3月から株式会社テックスタイル取締役。

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