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カーネルハッカーズ座談会 - Kernel3.0 & Linux20周年特集 -

1991年8月25日に産声を上げたLinuxは、 昨年で 20周年を迎えました。そして、カーネルのメジャーバージョンも3.0に更新。この2つの大きな節目を迎えたLinuxについて、日本を代表するコミュニティ開発者、Kernel Hackerの皆さんの集まって頂き、お話を伺いました。
終始笑いにつつまれた座談会の様子を、4回シリーズでお届けしています。

(編集部注:このインタビューは昨年(2011年)の夏に開催されたものです。時勢等はその当時のものであることをご了承下さい)


連載第1回】  連載第2回】  連載第3回】  連載第4回


杉田:  話は変わりますが、10月末にカーネルサミットが開催されますよね。そこで話題にでてきそうなことってなにか想像つきます?


西島:  僕が参加しているSCSIデバイスネーミング問題への対策技術が、カーネルサミットで議論されると思います。今議論している問題というのは、カーネルの出力ログが出てくるメッセージの中のデバイスネームが起動ごとにずれるから、違うポイントを指すということです。ログからの情報が不適切、もしくは足りないという話をメーリングリストの議論の中でしたら、Red HatのKay Sieversから、ストラクチャーロギングという新しいフレームワークを作って、ユーザーにわかりやすいログの出し方をやろうっていう提案があって議論しています。彼がそれをカーネルサミットへ提案したよってメールしてきたから、話題に上がると思いますね。

亀澤:  それで勝算あるの?(備考3)


平松:  9月のPlumbersでこの話をしたら、理論的には簡単にできるものを考えたらしいけど、実装についてはノーアイディアだと言っていました。それに、メールで何度も指摘しているのですけど、彼がカーネルの中に入れたトレースポイントは、今、straceの専用ポイントになっていますが、改造すればもっと汎用的にできると思っています。そうすれば、メッセージの形式を指定できたり、入っているバイナリーデータも取得できたり、簡単になるはずなんですけど・・。


亀澤:  カーネルロキングはトレースでやっているの?


平松:  今はそうです。でも、同じ仕組みを使うにしても、トレースとは別の、たぶんエラー用のメッセージをもっとちゃんと定義しないといけないと思うんです。それで出てくる口は別にしておく。ただ、どういうデータが出てくるかはトレ-スと一緒。そうしたら、開発するにしてもコードの再利用もできるし。まあ、トレースの延長でやっても良いと思うのですが、ftraceのメンテナが認めてくれない。でも、実は彼はバッファを複数作る方法は検討するつもりでいるようで、TODOリストに入っていました。優先度は低そうですけど。エラー情報を入れるバッファは別に欲しいんですけどね。

備考3:ストラクチャーロギングのその後の情報
残念ながら、カーネルサミットでは、賛成されませんでした。printkに対して一意の IDを振る要求なのですが、
- printk のコンテンツに対して一意のIDを振る
- ランダムにIDを振る
 ⇒ printkがコピーされるからだめだろう
- printk の位置に対して一意のIDを振る
 ⇒ パッチあてたら位置がずれる
という議論があり、「printkの中身にも位置にも依存せずに一意のIDを振る手法」が要求されています。


杉田: 他には?


平松:  インテルがすごく押しているx32はどう? x86-64のコードを使って32ビットの環境を作るものなんだけど、開発者に、何に使うか聞いても、明確な答えは返って来なかったので、ずっと気になっていて。


山幡:  でも、このx32は押さえておいて方がいい気がしますね。


平松:  使えるのは、多分、デスクトップですよね。デスクトップアプリケーションって、結構メモリを使うから。32ビットから64ビットに変えると、ブラウザなどがメモリを大量に使うので、内部でポインタとかが使えなくなってしまうので、32ビットのままで行きたいと思うんです。でも、64ビットで処理したいものもあるので、long型の変数は64ビットにしていますよね?


フェルナンド:  そう。でも、一部でも64ビットで処理できれば、例えばタイマーまわりなどがまともになりますよね? 2038年問題もなくなると思うし。


野村:  Linusも、結構この議論に入っていますよね。


平松:  ただ、アプリケーションをコンパイルし直さなきゃいけないので、厄介な面もある。


亀澤: Bare-Metal ABI(解説14)はどう? James Bottomleyが、KVMのBare Metal ABIについて何か発言していたと思うけど。

解説14:Bare-Metal ABI(Application Binary Interface)
Java VMを、OS無しで直接仮想マシン上で動かすための、ハイパーバイザのAPI。


平松: でもそれは、OSがやっているような機能をJava VMが対応しないといけないのでは?


亀澤:  多分ね。でも、VMwareはすでにJavaを直接実行できるよね。OracleにもJava VMが直接動くハイパーバイザ搭載のVM serverがある。今はXenを使っているのかな。なので、KVMにも同じ機能を入れようとしていたら、そんなもの要らないとクレームがあったと聞いているけど。


西島:  その話は聞いたことがありますけど、今どうなっているのかは知らないですね。


一同:  確かに。どうなっているんだろう。


杉田: なるほど。今話題に出た昨日は、今後も注目した方がよさそうですね。ところで、カーネルサミットに誰かいかれるんでしたっけ?


亀澤: はーい、行きます。また、Cgroupが槍玉にあげられそうだな(備考4)。

備考4:
思った以上に前向きな議論ができました。でも、この報告はまた別の機会に。


杉田:  呼ばれているということはそうですね。帰国したら報告をよろしくお願いします。
日本から、他に、誰がカーネルサミット出席者に出るかわかりますか?


平松:  ここにいない人で、NTTの藤田さんかな。


岩松:  ルネサスのPaul Mundtも参加するかも。あとは日本在住ではない人で岩井さんとか。


亀澤:  今、ヨハンがいろいろと精力的にやってくれているので、レビューしておこうかなぁと。
自分の書いているコードをバリバリと書き換えられるので、最初は少し反発もしたけど、今はこれでもいいかなぁと思うようになりました。いつも、そうなんだけど、This code dose not make sense at all.と言われて・・・。


山幡:  at allはきついなぁ。


(一同爆笑)


亀澤:  もうちょっと、ソフトな表現を使ってよってお願いしました。精神的にへこんでいる時にそういうメール読むと、ますます落ち込んじゃうからね。


西島:  言えています。相手の感情がわからない分、メールで駄目出しされるときついですよね。


杉田:  相手は気楽に書いていたりするのにね。皆さん、多かれ少なかれ、誰もが経験しているようですね。


フェルナンド:  話は変りますが、Googleの人たちは、最近コミュニティで活発に活躍していますよね? 人数が増えたと思いませんか?


亀澤:  Cgroupにも結構いるね。LKMLでは4~5人見えているけど、実働部隊はもっといると思います。この前、Googleが CPU Bandwidth Control を入れたじゃないですか? 富士通が滅茶苦茶欲しい機能だったので、がんばって後方支援しましたよ。まぁ、富士通にとってはいい結果になりました。


杉田:  そういう意味では、最近GoogleやSAMSUNGなどの開発者が増えたという話をききますけど、どうでしょう?


山幡: Googleは増えたね。


平松:  Googleと、それからCanonicalが増えたと実感しています。


岩松:  Canonicalは、Linaro対応ですよ。カーネルパッチはCanonicalのLinaroメンバが書いてLKMLに投げています。


フェルナンド:  Canonicalはディストリビューションも作っていますよね。


岩松:  そうそう、がんばっていますね。


杉田:  組込み系の勢力が、増えてきたってことでしょうか。


亀澤:  そうだと思う。あと、Parallelsからのパッチも増えたよね。 James Bottomleyの影響だろうけど。


フェルナンド:  岩松さんを含め、岩松さんの周りではLinaroに参加している人はいますか?


岩松:  私自身は表立ってはやっていません。メーリングリスト見ていると、知り合いは3~4名いるかな。


平松:  そういえば、PlumbersではCgroupの発表がありましたね。でも、そこに誰もCgroup関係者がいなかった気がしますよ。


フェルナンド:  確かに。そのセッションはGoogleの人たちが10人くらい集まっていたよね。なんで皆さんは参加しなかったんですか?


山幡:  行きたいけど場所が遠いからね。アメリカ出張の予算の問題が大きいかな。


杉田: アメリカ在住の人たちは、地理的にも予算的にも行き易いけど、日本からだと遠いよね。


フェルナンド:  確かにそうですね。でも、開発自体も、日本企業より力を入れている気がします。


亀澤:  いろいろ開発はしたいけど、お客さんにその使い方をどう紹介するかというところで悩んで止まるんだよね。お客さんに使ってもらうことを考えると仕様や実装が難しい。


杉田:  他の皆さんのところでは、Cgroupを使っています? 何か要望があるとか?


野村:  これまでは開発でしか使っていませんでしたが、ディストリビューションに入って来たのでこれからお客様のところでも使われますね。


杉田:  2010年くらいから、利用方法の国内セミナーなどが開催されていたりしますね。そういうセミナーともうまく連携して、普及活動ができると良いですよね。
 さて、カーネルの話はこの辺にして、次はLinux誕生20年における、皆さんの開発活動の歴史や今後の目標を聞かせてください。






To be continued… 
笑いが絶えない中、活発な議論が続きます。この続きはvol2で!
Kernel 3.0の内容の続きや組込み系のことなどに話題が広がります。お楽しみに!


続き(連載第3回)を読む




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